薄明

ごじょうさとる×ふしぐろめぐみ
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2026年1月 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する

星の原
柊英です

星の原

 ユニットとしては先輩である大がステージの上で歌っている。その歌声に聞き惚れながらも足が竦む。この歌が終わったら入れ替わるようにしてステージへと向かわねばならない。果たして自分は彼のように堂々とステージに立ち歌うことができるだろうか。舞台袖に聴こえる歌声に、マイクを持つ手が震えた。
 やがて曲が終わり、ステージに歓声が響く。
「…よし」
 それを聴いて、竦む足を叱咤して壇上へと続く階段を上がっていく。英知と入れ違うように僅かに額に汗を滲ませた大が降りてきた。次の曲までそう時間もない中で、大が英知の顔を見て小さく笑った。
「大丈夫。行ってみたら、ステージって案外怖くない」
 

 曲が終わり、ふと視界を持ち上げた時、きらきらと世界が瞬いていた。イエローグリーンのペンライトが夜闇に散りばめられた星々の様で、宝石のようで、その美しさに息を飲む。今、この光は英知の為に光り輝き英知を讃えている。大袈裟な仕草で頭を下げて、ありがとうございましたと言った声はきっと震えていた。広い会場からちらほらとざわめく声が聞こえたから。
 柊羽が作ってくれた、英知の為の歌。QUELLというこの場所を家族のように想っている、それを美しく形にしてくれた歌だ。みんなの様に上手く歌えた自信なんてない。声は裏返ってしまったしリズムだって崩れてたに違いない。それでも歌っていたあの瞬間は誰よりも1番楽しい幸せな時間であったのは確かだ。壇上に立ちイントロが流れてからの記憶は緊張も相まってどこかふわふわとしていてはっきりしないけれど、それだけは分かる。柊羽が作った、このQUELLという家族を想う、英知のための歌。ああ、と大きく息を吸う。もう一度頭を上げた時に未だに広がっていたイエローグリーンの世界が滲む。もう一度頭を下げて舞台袖に下がる足取りだって少し震えていた。
 次にソロを歌う壱流が英知と入れ替わるようにステージへと消えていく。その背中を見送る余裕すらなかった。英知の背後でわぁっと歓声が上がる。やがて流れ始めるイントロ、そこに重なる壱流の歌声。
「英知」
 優しい声が壱流の伸びやかな歌声の合間を縫って英知の耳へと届く。どこか呆然とした頭で見遣ればそこには柊羽が立っていた。きっと、英知のステージを見ていたのだ。視界がどうしようもなく滲んで、息を吸い込む、それすら震えてしまった。きらきらと世界が瞬いていた。イエローグリーンの美しい星々が英知を讃えていた。堀宮英知という人間を、確かに受け入れ認め、見つめていた。QUELLの堀宮英知として、柊羽や壱星や壱流からではない数多の人からやっと認めてもらったような気すらした。なんて美しい光景だっただろう、QUELLの堀宮英知だけが見ることの許された星の原は。
 柊羽、と名前を呼ぶ声は形にならなかった。壱流のソロが終わったら次はSolidSが歌う。その僅かな時間に少しくらい泣いてもいいだろうか。本当は泣いている場合なんかじゃあないのだけど、それでもどうしようもなかった。覚束ない足取りで両手を広げた柊羽の腕の中に収まれば壱流の歌声がすっと遠のく。
「英知、英知。本当にお疲れ様。本当に素晴らしいステージだったよ」
 何度も自分の名前を呼ぶ柊羽の声は酷く優しい。ああ、QUELLになれて良かったとこんなにも心の底から思っているのに声になんてなりやしない。ただただ柊羽を抱きしめ返す腕に力だけが込められる。この腕で柊羽にたくさんの感謝が伝わっていれば、いいのだけど。
 瞼の裏で、世界で1番美しい星の原が広がっていた。英知だけが見ることの許された、英知だけの美しさだ。

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俺が仕事始めするまでが三が日だ
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トップだけ変えてあげるの忘れてた

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正月
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2025年12月 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する

可愛い〜(自画自賛)

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💕
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おめでとう。大好き
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共に過ごすということ

 任務で赴いた先の駅前でクリスマスマーケットをやっていたと伏黒が言っていたのが先月のこと。それもうクリスマスでもなんでもないじゃんと五条が言ったのも先月のこと。
 そして2人で住む場所からそう遠くない所でクリスマスマーケットがやっているから行きたいと伏黒が言い出したのが、22日の朝のこと。
 五条にそれを告げてから任務へと向かった伏黒が帰宅したのは、昼を過ぎて夕方になった頃だった。せっかくの誕生日なんだから休めばいいのに、とは言えない。五条がいなくなった穴の大きさは、五条自身もよく理解していたから。
五条悟は表向きは死んだことになっている。生きていることを知っているのは、伏黒を含めた一部の関係者だけ。奇跡的に一命を取り留めたものの、身体は動いても以前ほどの精度で術式を扱うことが難しくなったのだ。ただでさえ扱いが難しく、1歩間違えれば大惨事を引き起こしてもおかしくない力。逞しく育った教え子たちに先のことは任せて、五条悟は死んだことにして隠居生活を決めたのだった。
 隠居生活を始めてから伏黒と一緒に暮らすようになって、同じ屋根の下で彼の誕生日を祝うのもそろそろ片手じゃ足りなくなる。毎年この時期は宿儺との戦いの記憶も新しく、呪いが増え、術師たちが忙しくなる。だから伏黒がこの日に任務に赴くのは仕方ないのないことだが、きっと負い目もあるのだ。それにだって、気にしなくていいんだよ、だなんて五条にはとても言えなかった。お互い口には出さないけれど、苦い思い出ばかり蘇る。

 1駅先にある大きな公園でクリスマスマーケットはやっているらしく、2人並んで徒歩で向かう。すっかり空は暗く、吐き出す息は白くて伏黒の鼻の頭は赤くなっていた。今日の任務での話を聞きながら歩いていれば1駅なんてあっという間。やがて人々の賑わいと電飾でやけに明るくなった一角が見えてくる。
「結構賑わってるじゃん」
「ですね」
 クリスマスマーケットと言えどもそう大々的に告知しているような規模ではない。それでもぼんやりしていたら離れ離れになってしまいそうなくらいには人が集まっていた。クリスマスにはまだ少し早いけれど、イベントは楽しんだ者勝ちだ。
 人の流れに混ざって、入口でマグカップを購入する。赤と緑と、可愛いトナカイのイラストが付いたそれを片手に公園内へと1歩踏み込むと一番に目につくのは中央にある大きなツリー。電飾で形作られたそれは、一等きらきらと輝いていた。
「……つか、顔隠さなくていいんですか」
 ツリーを眺めていると、伏黒が五条の腕をつついてくる。確かに今日の五条はサングラスしかしていなかった。
「別にいいでしょ。僕が実は生きてることなんて、本当はとっくにバレてるし」
「…でも」
 五条悟は死んだことになっているが、実のところ生きていることはとっくの昔に知れ渡っている。耳の早い呪詛師たちに知られれば、他の術師たちにも話が行くのは早かった。公然の秘密というやつだ。けれど、以前のように扱えないとはいえ術式は死んだわけでもないし、衰えたところはあっても培った戦いの技術は残されている。そうそう命を奪いに来る無謀な者はいないし、なによりも。
「なんかあっても恵がどうにかしてくれるでしょ」
 五条の言葉に、むっと口を尖らせたのは照れ隠しだ。今の五条にはとっても頼りになる用心棒がいる。そう心配するようなことはない。
 ツリーの前から離れて、マグカップを受け取った時に貰ったマップを一緒に覗き込む。雑貨を扱う店から、食事を提供しているキッチンカー、フォトスポット。一頻り目を通してから、伏黒が指を指したのは入口から1番近い出店だった。
「俺、ここ行きたいです」
「いいけど、何目当て?」
「ホットワイン」
 思わず伏黒の顔を見る。ああ、そういえば今日で彼は20歳になったのだと、思い出す。あんなに小さかった子供は、酒が飲める歳になったのだと。
「…ん、分かった」
「一応身分証持ってきました」
「飲む気満々じゃん」

 少し並んで、購入したマグカップに伏黒はホットワイン、五条はココアを注いでもらう。ついでにソーセージの盛り合わせも買った。ベンチは殆ど埋まっていたから、隅っこで立ったまま飲むことにする。
 別に自分が飲む訳でもないのに、どこか緊張しているのは伏黒に酒のイメージがないからだ。大人になった証。子供じゃなくなった証。嬉しいはずなのに、どこか寂しい。
 恐る恐ると言った様子でそっとマグカップに口をつけて、1口。こくりと伏黒の喉仏が上下するのを見ていると、気まずそうにこちらを見た。
「…そんなに見られたら飲みにくいんすけど」
「や、なんか、慣れなくて」
「何が」
「恵がお酒飲んでるのが」
「そりゃ、今日が初めてですからね」
 でもこれから見慣れるかもしれませんよ。そう言ってもう一口。
 人々の賑わいをBGMに大きなツリーとそれと出店を繋ぐ電飾の光を見つめる。五条はこういうイベントで賑わっている空間が存外好きだ。意味もなく散財して、色んなものを食べて飲んで、浮かれて。そういう非日常が好きだ。けれど伏黒はそうじゃない。むしろ苦手な筈だ。五条が誘って渋々着いてくるならまだしも、自分から行きたいなんて普段なら言うはずもない。ましてや、この時期になんて、尚のこと。
「…五条さん、好きでしょう」
 徐に伏黒が口を開く。
 視線はマグカップに落として、口元に小さな笑みを浮かべて。
「イベント空間が?」
「そう。こういう人でごった返してて、賑やかなの」
「恵は好きじゃないよね」
「そうですね。普段なら行きたいなんて思わないんですけど」
「誕生日なのに」
「だからですよ」
 顔を上げた伏黒が、緩く目を細めて五条を見る。瞳にきらきらと電飾が反射していた。
「誕生日だから、あんたの楽しそうな顔が見たくて」
 毎年、伏黒はこの時期になると連日任務を入れて日付が変わる少し前にやっと帰ってくる。疲れきった顔で、ふらふらと帰ってきては起きて待っている五条にくっついて離れようとしない。何を言うわけでもなく、ただ離れようとしないのだ。誕生日に何か欲しいものがないのか聞いても特に無いと言うのはいつものこと。けれど、誕生日に限らず今の伏黒は欲しがること自体を避けているようだった。なのに。
「…ふは、変な顔」
 言葉に詰まる五条に、伏黒が目尻を柔らかく下げる。電飾の明かりの中でも、伏黒の頬が赤く見えるのは気のせいか。
上手く言葉が紡げない五条を置いて、伏黒がぽつりぽつりと言葉を落としていく。独り言のようにも聞こえるそれは、しかし五条に語りかけていた。
「20歳になって、ちゃんと覚悟決めないとなって思って。俺のしたことが許されるとは思ってないですし、一生かけて償わないといけないことだとも思ってます。でも、…あんたと、五条さんと一生一緒にいる覚悟は、幸せにする覚悟は、ちゃんと決めないとなって」
 今日は誰の誕生日だったっけ、そんなことを思う。今日は五条の記念日じゃなくて、伏黒の記念日のはずなのにどうして五条を喜ばせるようなことを言うのだろう。本当なら五条が誰よりも伏黒のことを祝ってあげないといけないのに。生まれてくれたことにありがとうを伝えて、出会ってくれたことに喜びを伝えて、一緒にいる奇跡に祈りを捧げるべきだ。だというのに。
「…なんで僕がプレゼント貰ってんのさ」
 サンタさんにはまだ早いよ。そう続けた声は随分とかすれてしまった。でも伏黒にはちゃんと聞こえたはずだ。どんな人混みの中であっても五条には伏黒の声が聞こえるように、伏黒にだって五条の声はよく届くはずだから。
 五条のマグカップの中身は全然減っていないのに、伏黒のカップの中身はあと少しになっていた。頬が赤いのは、初めてのアルコールのせいか、一足早いサンタさんのせいか。
「貰ってるのはこっちですよ」
 伏黒の瞳が、一層きらきらと光る。
「あんたが生きてるって知ってから、毎日がプレゼントみたいなもんですから」
 歳は取りたくない。涙脆くなって仕方ない。ず、と鼻をすすってしまって情けない。情けないけれど、今日だけは許してほしい。
「酒の力ってこわぁ…」
 五条の情けない照れ隠しに、伏黒はとうとう声を上げて小さく笑った。
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はじめての
付き合ってまだそんなに長くない頃


 今の僕は、まさしく鳩が豆鉄砲の顔をしている。
 リビングから廊下に繋がる扉の前で真っ赤っかな顔をして立つ恵は、ロング丈の寝巻き用のシャツしか着ていなかったのだ。着ているのは本当にシャツだけで素肌を晒した足が少し寒そうだったけれど、始めて見る恵のそんな姿に僕は言葉を失っていた。どうしたのとか、寒そうだけどとか、もしかしてとか、色んな言葉が頭の中で浮かんでは消えて、そうしてやっと飛び出したのは抑えきれない笑い声だった。
「っ、ふ、…ははっ!もう、なんなのお前!育てた僕でも予想できないようなことして!驚かせてくれるじゃん!」
 恵が静かに「お風呂いただきます」と告げてリビングから消えて1時間弱。普段の恵からしたらありえない長さだったが、ソファで次の任務資料を眺めていた僕は深く考えていなかった。 そんな恵が、真っ赤っかな顔で生脚を晒して僕の前に立っている。扉を開けて「五条さん」と僕を呼んだ時の消え入りそうな声といったら!ここまでされて恵の意図に気付かないほど僕は鈍くない。
「…なんか、すみませんでした」
「ちが…、待って待って!そうじゃなくて!」
 あんまりにも僕が笑うもんだから馬鹿にされたと思った恵が、真っ赤な顔のままムスッとして再び廊下に消えそうになる。不器用な恵が頑張って僕を誘ってくれたのだ。馬鹿になんてするわけがない。だってあのちいさな「五条さん」の後には「今夜どうですか」って続けたかったに違いなくて、ただそれを言うところまで恵の勇気はちょっと足りなかっただけで。
 慌ててソファから立ち上がり風呂場にUターンしそうな恵の腕を取る。顔は真っ赤でもその手は冷たい。恵からえっちに誘うなんて初めてだし、こんな格好を自分からするのも初めての筈だから本当は緊張していたのだろう。
 不器用で、愛らしくて、いじらしくて仕方ない。
「………」
 目を合わせられない恵が、ふいと顔ごと目線を逸らす。
「本当に違くてさ。すっごい嬉しいの」
「…爆笑してましたけど」
「だって恵が豆粒みたいにちっちゃい頃から面倒見てて、とっくに色んなこと知ってて、恵が考える大体のことも想像がつくのにさ、これは予想外だったから」
「…豆粒じゃない」
 突っ込むところはそこじゃないのは恵だって分かってるだろうに、素直じゃない。また笑いそうになるけど今度は堪えた。
 掴んだ恵の腕をそっと離してから、どこかに行ってしまう前に手のひらと手のひらで繋ぎ直す。
「まだまだ恵の知らないところがあって、予想もしないようなことで驚かせてくれて、喜ばせてくれて、嬉しいに決まってるじゃん」
 恵の好きな味付けも知ってるし、当然好みの本や映画、服も知ってる。靴を履く時は必ず右足からだし、つむじは左巻き。恵の身体のことだって、まだ勉強中だけど既に本人よりは知ってるつもりだ。どこをどうされるのが弱いとか。しかしそれでも、世の中知らないことばっかりだ。風呂が長かったのは多分準備してたからで、脚を出してるのはきっと脱がせる手間と分かりやすさを考えてのこと。
 新しく記憶してからまだそっぽを向いてる恵の顔を覗き込んで、繋いだ手を揺らす。
「ね、「五条さん」の続きは?」
 続く言葉は今夜どうですか、だと僕は予想してるけれど何が飛び出してくるのか。わくわくしながら待つ。
 けど、何が飛び出しても、僕の返答はもう決まってる。
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貝柱色
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2025年11月 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する

冬の昼寝はちゃんと布団をかけよう
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うたた寝、冷めたコーヒー

「へくちっ」
 そんな可愛いくしゃみが聞こえて思わず目線を下へ向けた。今いる場所はベッドの上、そして目線は下に、つまりは僕の胸元だ。僕の胸元で恵がくしゃみをした。
 眉間に小さく皺を寄せて、口元をもごもごも動かしてむずがっている。寝ながら寒そうに身を寄せてくる様子に、そういえばベッドにシーツを敷きながら寝ちゃったんだったと思い出す。
 今日は天気が良かったからシーツを外で干して、その干したてのシーツをベッドに敷いていたら恵がやってきたもんだから腕を掴んでベッドに転がして、せっかくの乾いたばっかりのシーツをしわくちゃにしながらいちゃいちゃして、気が付いたら寝ていた。このいちゃいちゃは決していやらしいいちゃいちゃじゃない。ただひっついてキスをして、そんな可愛らしいものだ。誰に言い訳するでもなく僕達は健全なことをベッドでしましたよ、と心の中でごちる。
「めぐみー」
「…ん…」
 そういう訳だから部屋着のまま布団をかけずに寝てしまって、寒いのが苦手な恵が可愛いくしゃみをしたのが今さっき。裏起毛のスウェットに体温の高い僕にひっついていても、もうじき12月の気温の前には足りるはずもない。
 くしゃみをしても尚、眠そうにしている恵の頬をつつく。さっきと同じように口元をもごもご動かして、ゆっくりと瞼を持ち上げた恵は少しだけ不機嫌そうだ。といっても寝起きの恵はいつもこんな顔だ。本当に不機嫌なわけじゃない。
「おはよ。体冷えちゃったね」
「……はよ、ごさいます」
 寝起きの掠れた声で挨拶をしながら僕の胸元に擦り寄ってくるが、たぶんこれは二度寝の体制に入ろうとしている。ちょうどいいおやすみポジションを探しているのだ。
「ねぇ、なんかあったかいの飲もうよ。また寝たら風邪ひくよ」
「俺、コーヒー用意しましたよ」
「知らないんだけど」
「…言う前にベッドに引きずり込んできたんでしょう」
「言えばよかったじゃん。恵ったら僕とベッドの誘惑に弱すぎ」
「あんた程じゃない」
 僕から引き剥がされた恵は口を尖らせる。やっと二度寝を諦めた恵をベッドから起こしてから、床に足を下ろしたらフローリングはすっかり冬になっていた。そう長く寝てはいない筈だけど、恵が用意してくれたコーヒーが冷めるには十分な時間は経っているだろう。レンチンでもして温め直している間に、この間スーパーで安くなっていた1口和菓子の詰め合わせでも開けようかな。
 そんなことを考えていたら、僕に続いてフローリングに足を下ろした恵がもう一度くしゃみをした。


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10月16日にメッセージくださった方へ。
まっっっっっじで気付いてませんでした。すみません…


ご丁寧に豆本到着のご連絡ありがとうございます!
無事に届いたようで安心しました!
何も無いんじゃ味気ないな〜て思ってやったことですが、少しでも喜んで頂けたのなら幸いです。
そして突貫工事で作った本ですが、癒しをお渡しできたのならよかったです!彼らには良く食べ良く寝て楽しく過ごして欲しいので…(?)

改めて、お返事が遅くなってしまいすみませんでした。そしてメッセージありがとうございました。これからもまだまだゆるっと五伏愛でていこうと思います🫶

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その他 編集

映画にはポップコーンと飲み物
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僕はずっと恵一筋なの><

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「(まだ)旦那じゃねぇ」
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描き終わった時はギリギリハロウィンでした
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