薄明

ごじょうさとる×ふしぐろめぐみ
 非公式二次創作ブログサイト

メイン

天変地異

 これは天変地異の前触れか。
 声に出していたら間違いなく伏黒に没収されそうなことを五条は思った。コンビニで1個数十円で売られている全国的に有名な1口サイズのチョコ。それを任務の報告書と共に五条に渡してきたのだ。
 思えばバレンタインといえばデパ地下で限定物のチョコを買い溜める日、気まぐれに伏黒の口にビターチョコを放り込む日であり、伏黒からチョコなんて渡されたことはなかった。今年は恵から欲しいなぁ、なんて毎年1回は言ってみるが「自分でいつも買ってるでしょう」と一蹴されてしまうのだ。
「なんかコンビニ行ったら700円で1回、レジでくじが引けたんで金額合わせに買ったんですけど」
 それしか味なくて。そう言う伏黒は視線を少し右下に落としている。金額合わせなんていうのは体のいい言い訳で、いくつか種類のある中からわざわざ選んできたに違いない。甘いミルクチョコしかないなんて、そんな都合のいいことが今日に限ってあるだろうか。
 ばつの悪いこと、気恥しいことがあると伏黒は視線をどこかに泳がすのだ。つまりはそういうこと。
「可愛いことすんじゃん…」
「ちょっと、あんま握ると溶けますよ」
 報告書をそっちのけで手のひらに収まるチョコを噛み締めるように握り締めれば、体温で少し形が歪んだ気がした。

畳む

小説 編集

Powered by てがろぐ Ver 4.2.0.