薄明
ごじょうさとる×ふしぐろめぐみ
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ツインリボンの約束
柊英です
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side 英知
「夜のチョコ、って罪の味だよね」
柊羽から渡されたチョコを食べながらしみじみと言えば、英知が渡したチョコを食べている柊羽に確かにそうだと笑い返される。本当は何か手作りでもしてあげられたらよかったのだけど、バレンタインシーズンということでそれに関連した仕事が立て込んで上手いこと時間が取れなかった。柊羽単独ならまだしも、QUELLとしてそういった仕事が貰えるようになったことは喜ばしいことではあるのだけども。
綺麗な箱に入った数粒のチョコレートは、その綺麗な箱に負けず劣らず見た目からして食べることが勿体ないくらい美しいのだけど、きっとその値段は考えてはいけないのだろう。
「ん、これ美味しい」
「…ああ、俺が試食で一番美味しいと思ったやつだな」
仕事が終わってからもうすぐ閉まりそうなデパ地下に駆け込んで、形だけでもバレンタインを楽しもうと4人で各々選んで買ったチョコレート達。バレンタイン当日といえど既にピークは過ぎ去った夜。人気は減り、余ったものだけとはいえ選び放題のチョコレートは何にしようか考えているだけでも楽しかったものだ。そしてその4人で好きに買って持ち寄ったチョコレートで共有ルームのテーブルを彩ったのが、つい1時間ほど前のこと。
「これも美味いな」
「あっ、それ俺が一番美味しいと思ったやつ」
そして壱星と壱流が眠りについてから、先程は出さなかったお互いに渡す為だけのチョコレートを持ち寄ったのが、つい15分ほど前のこと。時計の針はもうすぐ日付を変えようとしていた。贈り物用にと飾り付けてもらった箱には水色の綺麗なリボンが巻かれていて、それは今テーブルの上で形を無くして横たわっている。柊羽も同じことを考えたのだろう、同様にテーブルに横たわる黄緑色のリボンは水色のそれに寄り添っていた。なんてことない光景の筈なのに、しかし柊羽と英知に重なって見える。これからもこのリボン宜しく、共にあれたらどんなにいい事か。そんなことを考える英知の口の中では甘い味が広がっていた。
side柊羽
「もう最後か」
「美味しいものってあっという間だよね」
柊羽が次のチョコレートに手を伸ばそうとした時、そこには1粒しか残されていなかった。それは向かいの英知も同様で、最後の1粒を少し勿体なさそうに口に放り込んでいた。柊羽も続くように最後のそれを口に含めば、控えめな甘さが口の中に広がる。
2人だけで過ごす穏やかなバレンタインはこれで終わりかと思いながら時計を見れば、まだかろうじて14日を指し示す時計の針。ゆっくりと溶けていくチョコレートに合わせて、柊羽の中で子供のような思いつきが浮かぶ。
「なぁ英知、手を貸してくれ」
すっかり空になった箱を纏めていた英知にそう声をかければ、頭にクエスチョンマークを浮かべながらも素直に右手を差し出される。
「右じゃなくて左手を出してくれ」
「ん」
再び素直に差し出された手を取って、その指の根元にテーブル広げられたままの水色のリボンを巻き付ける。普段あまりリボンを結ぶこともないから、綺麗に蝶蝶結びが出来た自信はないが意味は十分に伝わっただろう。ラッピング用のリボンはどうしても長さが余りすぎてしまうけれど、突飛な思いつきだから仕方がない。
「…少し照れるな」
「本人に照れられたら俺の立場がないから…」
「っはは、それもそうだ」
柊羽の行動を目で追いながら意味を理解していった英知の顔は今や首まで真っ赤になっていた。英知程ではないにしろ、自身の耳もきっと赤いのだけど。
台本のない素直な愛のメッセージは誰だって気恥しいものだ。しかしバレンタインは愛の日ともいう。少し思い切って大胆なことをしたっていい日だ。
「こんなことされたら俺だってお返ししないとじゃん」
「それは嬉しいな」
「ほら、柊羽も左手出して」
指先まで熱を持っている気がする英知の手が柊羽の左手を取る。照れからか、少し覚束無い手つきで柊羽の指の付け根にも同じことをする英知を見ながら思う。いつまでも君の恋人でいられますように。
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2026.01.09 22:39:30
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柊英です
side 英知
「夜のチョコ、って罪の味だよね」
柊羽から渡されたチョコを食べながらしみじみと言えば、英知が渡したチョコを食べている柊羽に確かにそうだと笑い返される。本当は何か手作りでもしてあげられたらよかったのだけど、バレンタインシーズンということでそれに関連した仕事が立て込んで上手いこと時間が取れなかった。柊羽単独ならまだしも、QUELLとしてそういった仕事が貰えるようになったことは喜ばしいことではあるのだけども。
綺麗な箱に入った数粒のチョコレートは、その綺麗な箱に負けず劣らず見た目からして食べることが勿体ないくらい美しいのだけど、きっとその値段は考えてはいけないのだろう。
「ん、これ美味しい」
「…ああ、俺が試食で一番美味しいと思ったやつだな」
仕事が終わってからもうすぐ閉まりそうなデパ地下に駆け込んで、形だけでもバレンタインを楽しもうと4人で各々選んで買ったチョコレート達。バレンタイン当日といえど既にピークは過ぎ去った夜。人気は減り、余ったものだけとはいえ選び放題のチョコレートは何にしようか考えているだけでも楽しかったものだ。そしてその4人で好きに買って持ち寄ったチョコレートで共有ルームのテーブルを彩ったのが、つい1時間ほど前のこと。
「これも美味いな」
「あっ、それ俺が一番美味しいと思ったやつ」
そして壱星と壱流が眠りについてから、先程は出さなかったお互いに渡す為だけのチョコレートを持ち寄ったのが、つい15分ほど前のこと。時計の針はもうすぐ日付を変えようとしていた。贈り物用にと飾り付けてもらった箱には水色の綺麗なリボンが巻かれていて、それは今テーブルの上で形を無くして横たわっている。柊羽も同じことを考えたのだろう、同様にテーブルに横たわる黄緑色のリボンは水色のそれに寄り添っていた。なんてことない光景の筈なのに、しかし柊羽と英知に重なって見える。これからもこのリボン宜しく、共にあれたらどんなにいい事か。そんなことを考える英知の口の中では甘い味が広がっていた。
side柊羽
「もう最後か」
「美味しいものってあっという間だよね」
柊羽が次のチョコレートに手を伸ばそうとした時、そこには1粒しか残されていなかった。それは向かいの英知も同様で、最後の1粒を少し勿体なさそうに口に放り込んでいた。柊羽も続くように最後のそれを口に含めば、控えめな甘さが口の中に広がる。
2人だけで過ごす穏やかなバレンタインはこれで終わりかと思いながら時計を見れば、まだかろうじて14日を指し示す時計の針。ゆっくりと溶けていくチョコレートに合わせて、柊羽の中で子供のような思いつきが浮かぶ。
「なぁ英知、手を貸してくれ」
すっかり空になった箱を纏めていた英知にそう声をかければ、頭にクエスチョンマークを浮かべながらも素直に右手を差し出される。
「右じゃなくて左手を出してくれ」
「ん」
再び素直に差し出された手を取って、その指の根元にテーブル広げられたままの水色のリボンを巻き付ける。普段あまりリボンを結ぶこともないから、綺麗に蝶蝶結びが出来た自信はないが意味は十分に伝わっただろう。ラッピング用のリボンはどうしても長さが余りすぎてしまうけれど、突飛な思いつきだから仕方がない。
「…少し照れるな」
「本人に照れられたら俺の立場がないから…」
「っはは、それもそうだ」
柊羽の行動を目で追いながら意味を理解していった英知の顔は今や首まで真っ赤になっていた。英知程ではないにしろ、自身の耳もきっと赤いのだけど。
台本のない素直な愛のメッセージは誰だって気恥しいものだ。しかしバレンタインは愛の日ともいう。少し思い切って大胆なことをしたっていい日だ。
「こんなことされたら俺だってお返ししないとじゃん」
「それは嬉しいな」
「ほら、柊羽も左手出して」
指先まで熱を持っている気がする英知の手が柊羽の左手を取る。照れからか、少し覚束無い手つきで柊羽の指の付け根にも同じことをする英知を見ながら思う。いつまでも君の恋人でいられますように。
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