薄明

ごじょうさとる×ふしぐろめぐみ
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こたつみかん

 みかん食べる?と聞けば起きているんだか寝ているんだか分からない声で「ん」と言った。半分寝ぼけている恵は簡単な敬語すら忘れて途端に幼くなる。ん、だなんて普段は絶対言わないのに。
「寝るなら食べてからにしなよー」
 YESの返事を貰ったことにして、こたつの上に定番よろしく置かれたみかんを一つ手に取る。悟が食べる分には適当に剥いて中の白い筋ごと二口で食べてしまうのだが、恵は丁寧に白い筋を取ってからひと房ずつ食べる。小さい口にひと房ずつみかんを放り込んでいく姿が小さい動物みたいで可愛いのだが、暖かいこたつの中で今にも寝落ちそうな恵は深く考えることもせずに悟の手から食べるから尚のこと可愛いのだ。うさぎの餌付け、のような。
 ちまちまと筋を取りながら欠伸すらせずに船を漕ぎ始めている恵を見れば、もう目は殆ど開いていない。昔からよく寝る子ではあったが、こたつの魔力とは恐ろしい。
 すっかり筋の取れて綺麗なオレンジが顕になったみかんを恵の口元に持っていく。
「あーん」
「……ん、」
「美味しい?」
 悟の問いにまたしても起きているのか寝ているのか分からない頭の揺れでもって答えてくれた。寝る子は育つ、とはよく言ったもので今年も無事にこたつに篭ってみかんの餌付けが出来て悟はひっそりと微笑んだ。
 次のもう1粒を口元へとやれば、やはり口が開くのだった。

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