薄明

ごじょうさとる×ふしぐろめぐみ
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七海と飲み会

 この五条悟という男を同じ人間だと思いたくはないが、しかし間違いなくこの男はただの人間なのだと思う瞬間がある。彼が七海を殺めようと思えば、瞬きの間に自分の身体はひしゃげているだろう。そういう力を持っているが、そんな男も実の所はそこらの人並みに愛だの恋だのに浮かれ慈しむ1人の人間であった。
 酒に弱いと本人は言うが、果たしてそれは本当の話だろうか。七海は五条と半ば強制的に呑みに行かされると必ず思う。何もかもが完璧な強さを持つこの男が、酒ひとつにやられる方が違和感だと思えてならないからだ。しかしそれでも数口のサワー如きで目尻を赤く染めた男はふわふわとした口調で言う。「恵ってさぁ」と。
「彼の話、何度目ですか」
「何度だっていいだろ〜!僕は恵の話をしたいんだよ」
 彼の酔いについて真偽の程は確かではないが、五条と呑めば会話は大体彼のことになる。といっても一方的に五条が捲し立てる話に適当に相槌を打つだけなのだが、それでも五条は満足するらしい。
「僕と恵の関係なんて犯罪だぞ、七海くらいしか話せないじゃん」
「別に誰でもよかったでしょうに」
 彼はそう言うが、実際のところは話し相手など誰でもいいのだ。たまたま数年前に、五条が誰かに伏黒との惚気を話したいと思った時に、運悪く居合わせたのが七海であっただけで。
「…もうお酒は置いておいてください。伏黒くんを呼んでおきますので」
 この男も、結局はただの人間であるのだ。付き合っている相手との自慢話をしたくなり、彼が好きなのだと言いながらサイドメニューのバニラアイスを何皿も平らげる程度には。
 七海の言葉に五条がまだ早いと口を尖らす。この呑み会は毎回七海が伏黒を呼ぶところでお開きだ。これから呼び出してしまう伏黒には悪いが、これが1番手っ取り早く終わらせる方法なのだ。まだ早いと駄々を捏ねるけれど、伏黒を呼ぶと途端に機嫌が良くなる五条が全ての勘定も済ませてくれる。
「じゃあ来月!また続きやろう」
「お断りします」

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