薄明
ごじょうさとる×ふしぐろめぐみ
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いんがおうほう
話の中に出てくる本気で嫌がって泣いたってのは彼シャツトレンカ参照
普通にみんな生きてる時空
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「…五条さんの、かわいいところ…」
そう伏黒は呟いて動きを止めた。手に持ったグラスをじっと見つめたままフリーズした伏黒に、虎杖と釘崎の間にも僅かに緊張が走る。伏黒の口から何が飛び出すか分からないからだ。せめてコメントを返しやすい内容、例えば朝の寝癖頭が可愛いとか、そんな当たり障りのないものであってほしい。
事の発端は虎杖、釘崎、伏黒の3人で呑みに行くことを知った五条からの連絡だった。虎杖のメッセージアプリに「今度恵と飲み行くんだって?」と連絡があり、そこから何往復かやり取りをしたところで「恵から僕の惚気聞いといてよ」と要求されたのだ。突拍子のないのはいつもの事だとしても、そんなものを聞き出してどうなるのかと伝えれば、他所で五条のことを惚気ける伏黒がただ知りたいという知的好奇心だった。五条に「内緒でそういうことすんの良くないと思うよ」と返したところで、釘崎にも同じ内容を送っていたらしく、呑み代全額負担を条件に乗っかったから当日は呑むぞと強制参加の連絡がきたのだった。
そして決まってしまったものは仕方ないとして、いざ伏黒に惚気るようなことがないのか素直に聞いても「先生になんか言われたのか」と読まれるのがオチだと少しでも酔わせようとしたのだがこれが大変だった。まず飲むように勧めても頑なに断られ、それを乗り越えどうにか飲ませたところでいくら杯を重ねても顔色1つ変わらないのだ。釘崎と目配せをして、やはり呑み代全額貰わないと割に合わなかったなと頷きあったりもした。
そうしてやっと伏黒の目が少しぼんやりし始めた頃に聞いたのだ。「五条先生の可愛いところってなんかないの?」と。この可愛いところとは何を聞いたらいいのか五条に一応聞いたら返ってきた例題だ。
「…ないなら別にいーんだけ、」
「セックスで本気で嫌がって」
「え」
「うわぁ」
あまりにもグラスを見つめて動かないものだから、虎杖が話を終わらせようとした時だった。伏黒がおもむろに口を開き、そこから飛び出した単語に虎杖と釘崎2人揃って言葉を失う。やはりコメントのしずらい、というかあまり聞きたくない方向性で飛び出してきた、と。
「泣いたら、ごめんつってちんこなえたところ」
言いながら思い出したのか口元が柔らかく緩み、酔いもまた進んだのか言葉がまろくなっている。質問に答えてくれた本人は2人の様子なんて目に入っていないようで、言葉に詰まってるいることに気付いてはくれていないようだった。
普段表に出る感情がそこまで激しくない、ついでに眉間に皺のない方が珍しいんじゃないかという伏黒が泣くとは一体。セックスってそんな激しいものだっただろうか。本気で嫌がって泣くって。嫌がらせに定評がある五条とはいえ泣く程とは一体。
横にいる釘崎にそんな戸惑いの視線を送れば、そんなの知るかと顎であしらわれて、虎杖は「…そうなんだ…」と伏黒に愛想笑いを返した。これが戸惑いからくる処世術の相槌だということに、伏黒は気付いてはくれないだろう。
「あのさ、伏黒だいぶ酔ってきた?なんか瞼ほぼ閉じてるけ、」
「3割くらいの確率で」
「えっ」
このままグラスを取り上げ、迎えに五条を呼びさっさとお開きにする方が今後のためだ。今度というか、伏黒のパーソナルな部分の今後のために。
しかし虎杖の気遣いも虚しく、再び伏黒の口が開かれた。目元を優しくして、本当に可愛いものを思い出すように微笑んで。
「みこすり半す…」
「恵ストーーーップ!」
突如伏黒の背後から現れた五条が9割言いかけた伏黒の口を手のひらで塞ぐ。突然のことにほぼ閉じられていた伏黒の瞼が開き、背後の五条を見上げた。しかし幾度か瞬きをして、伏黒の瞼はまた閉じられた。今度はほぼ、ではなく完全に。
賑やかなはずの居酒屋で4人の間に気まずい沈黙が流れる。この気まずさを知らないのは赤裸々に言うだけ言って寝てしまった伏黒だけだ。
一体どこで聞いていたのかとか、聞いていたのならもっと早くに制止した方が良かったんじゃないかとか、ものすごい冷や汗だなぁとか、こんな焦った顔見た事ないとか、伏黒は記憶が残るタイプなのか否かとか、言いたいことは山のようにあるが思わず2人から出てきたのはそのいずれでもなかった。
「みこすり半って…」
「ググッていい?」
「忘れて」
すっかり寝てしまった伏黒を抱えて店の外で会計をしてくれている五条を待つ。穏やかに寝息を立てる伏黒にはどうか今夜のことは忘れていてほしいと思う。覚えていたら多分当分飲み会には来てくれないし、二度と酒は飲まないだろう。
「おまたせ~」
「はい伏黒」
「何しても起きないわよ」
「ほんとだ」
虎杖から伏黒を受け取った五条はその頬をつついて「結構呑んだねぇ」と笑った。しかしそれでも、五条に背負われると自然と伏黒の腕はその首へと回った。無意識の中での行動に、結局聞き出すよりこっちの方が余程惚気けていると思う。本人たちからしたら日常すぎて意識すらしていないのだろうが。
「ねぇ、いつからいたわけ?」
「んー…恵がちょっと酔い始めた辺り?恵って全然飲もうとしないでしょ、だから時間開けてから来た」
「こいつがこんなに酒嫌いだと思わなかった。素面じゃ言わないと思ったからとはいえ…もうやらないからね」
溜息とともに釘崎がそう吐き出す。同期のこんな生々しい話、そうそう聞きたいわけでもないし伏黒だって話したいタイプでもない筈だ。
「いや、特別嫌いってわけじゃないよ。僕がお酒だめだから飲まないの」
「…ん?何で先生が駄目だと伏黒が飲まねーの?」
「こらバカ!」
にやりと五条が笑う。その表情の意味を悟るのが虎杖は遅かった。横にいた釘崎が慌てて虎杖の口を押さえたが既に意味はなかった。
「僕とちゅー出来ないから」
可愛いよね~!と最後に付け足して、コメントに困りながら立ち尽くす2人に手を振って五条は繁華街の雑踏の中に消えていった。
「……みこすり半ってググッた?」
「ググッた。こそこそ聞き出そうするからバラされんのよ」
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2023.11.05 21:49:52
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「…五条さんの、かわいいところ…」
そう伏黒は呟いて動きを止めた。手に持ったグラスをじっと見つめたままフリーズした伏黒に、虎杖と釘崎の間にも僅かに緊張が走る。伏黒の口から何が飛び出すか分からないからだ。せめてコメントを返しやすい内容、例えば朝の寝癖頭が可愛いとか、そんな当たり障りのないものであってほしい。
事の発端は虎杖、釘崎、伏黒の3人で呑みに行くことを知った五条からの連絡だった。虎杖のメッセージアプリに「今度恵と飲み行くんだって?」と連絡があり、そこから何往復かやり取りをしたところで「恵から僕の惚気聞いといてよ」と要求されたのだ。突拍子のないのはいつもの事だとしても、そんなものを聞き出してどうなるのかと伝えれば、他所で五条のことを惚気ける伏黒がただ知りたいという知的好奇心だった。五条に「内緒でそういうことすんの良くないと思うよ」と返したところで、釘崎にも同じ内容を送っていたらしく、呑み代全額負担を条件に乗っかったから当日は呑むぞと強制参加の連絡がきたのだった。
そして決まってしまったものは仕方ないとして、いざ伏黒に惚気るようなことがないのか素直に聞いても「先生になんか言われたのか」と読まれるのがオチだと少しでも酔わせようとしたのだがこれが大変だった。まず飲むように勧めても頑なに断られ、それを乗り越えどうにか飲ませたところでいくら杯を重ねても顔色1つ変わらないのだ。釘崎と目配せをして、やはり呑み代全額貰わないと割に合わなかったなと頷きあったりもした。
そうしてやっと伏黒の目が少しぼんやりし始めた頃に聞いたのだ。「五条先生の可愛いところってなんかないの?」と。この可愛いところとは何を聞いたらいいのか五条に一応聞いたら返ってきた例題だ。
「…ないなら別にいーんだけ、」
「セックスで本気で嫌がって」
「え」
「うわぁ」
あまりにもグラスを見つめて動かないものだから、虎杖が話を終わらせようとした時だった。伏黒がおもむろに口を開き、そこから飛び出した単語に虎杖と釘崎2人揃って言葉を失う。やはりコメントのしずらい、というかあまり聞きたくない方向性で飛び出してきた、と。
「泣いたら、ごめんつってちんこなえたところ」
言いながら思い出したのか口元が柔らかく緩み、酔いもまた進んだのか言葉がまろくなっている。質問に答えてくれた本人は2人の様子なんて目に入っていないようで、言葉に詰まってるいることに気付いてはくれていないようだった。
普段表に出る感情がそこまで激しくない、ついでに眉間に皺のない方が珍しいんじゃないかという伏黒が泣くとは一体。セックスってそんな激しいものだっただろうか。本気で嫌がって泣くって。嫌がらせに定評がある五条とはいえ泣く程とは一体。
横にいる釘崎にそんな戸惑いの視線を送れば、そんなの知るかと顎であしらわれて、虎杖は「…そうなんだ…」と伏黒に愛想笑いを返した。これが戸惑いからくる処世術の相槌だということに、伏黒は気付いてはくれないだろう。
「あのさ、伏黒だいぶ酔ってきた?なんか瞼ほぼ閉じてるけ、」
「3割くらいの確率で」
「えっ」
このままグラスを取り上げ、迎えに五条を呼びさっさとお開きにする方が今後のためだ。今度というか、伏黒のパーソナルな部分の今後のために。
しかし虎杖の気遣いも虚しく、再び伏黒の口が開かれた。目元を優しくして、本当に可愛いものを思い出すように微笑んで。
「みこすり半す…」
「恵ストーーーップ!」
突如伏黒の背後から現れた五条が9割言いかけた伏黒の口を手のひらで塞ぐ。突然のことにほぼ閉じられていた伏黒の瞼が開き、背後の五条を見上げた。しかし幾度か瞬きをして、伏黒の瞼はまた閉じられた。今度はほぼ、ではなく完全に。
賑やかなはずの居酒屋で4人の間に気まずい沈黙が流れる。この気まずさを知らないのは赤裸々に言うだけ言って寝てしまった伏黒だけだ。
一体どこで聞いていたのかとか、聞いていたのならもっと早くに制止した方が良かったんじゃないかとか、ものすごい冷や汗だなぁとか、こんな焦った顔見た事ないとか、伏黒は記憶が残るタイプなのか否かとか、言いたいことは山のようにあるが思わず2人から出てきたのはそのいずれでもなかった。
「みこすり半って…」
「ググッていい?」
「忘れて」
すっかり寝てしまった伏黒を抱えて店の外で会計をしてくれている五条を待つ。穏やかに寝息を立てる伏黒にはどうか今夜のことは忘れていてほしいと思う。覚えていたら多分当分飲み会には来てくれないし、二度と酒は飲まないだろう。
「おまたせ~」
「はい伏黒」
「何しても起きないわよ」
「ほんとだ」
虎杖から伏黒を受け取った五条はその頬をつついて「結構呑んだねぇ」と笑った。しかしそれでも、五条に背負われると自然と伏黒の腕はその首へと回った。無意識の中での行動に、結局聞き出すよりこっちの方が余程惚気けていると思う。本人たちからしたら日常すぎて意識すらしていないのだろうが。
「ねぇ、いつからいたわけ?」
「んー…恵がちょっと酔い始めた辺り?恵って全然飲もうとしないでしょ、だから時間開けてから来た」
「こいつがこんなに酒嫌いだと思わなかった。素面じゃ言わないと思ったからとはいえ…もうやらないからね」
溜息とともに釘崎がそう吐き出す。同期のこんな生々しい話、そうそう聞きたいわけでもないし伏黒だって話したいタイプでもない筈だ。
「いや、特別嫌いってわけじゃないよ。僕がお酒だめだから飲まないの」
「…ん?何で先生が駄目だと伏黒が飲まねーの?」
「こらバカ!」
にやりと五条が笑う。その表情の意味を悟るのが虎杖は遅かった。横にいた釘崎が慌てて虎杖の口を押さえたが既に意味はなかった。
「僕とちゅー出来ないから」
可愛いよね~!と最後に付け足して、コメントに困りながら立ち尽くす2人に手を振って五条は繁華街の雑踏の中に消えていった。
「……みこすり半ってググッた?」
「ググッた。こそこそ聞き出そうするからバラされんのよ」
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