薄明

ごじょうさとる×ふしぐろめぐみ
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2025年5月24日の投稿2件]

今日はそういう日


 瞼をすり抜けた光が悟に起きろと声をかけてくる。それに抗うことなく、うーんと唸ってから悟はゆっくりと瞼を持ち上げた。窓から差し込む日差しは随分と眩しくて、今は何時だろうかと久しぶりに熟睡したお陰で軽い腕で枕元のスマートフォンを手に取った。
 ロック画面を表示。今日は5月24日。時刻は朝の8:30、ではなくて昼に近い10:45。
 その時刻を見て、悟は寝起きの気だるさなんて放り投げてがばりと起き上がった。
「もう昼!?」
 隣で未だにすやすやと眠っている恵を気にすることなく叫んだ悟は「恵!起きて!」と慌てて恵の肩を揺すった。あまりにも気持ちよさそうな寝顔に悪いとは思うがそれどころではなかった。
 今日は2人揃ってオフ。滅多にないことだからと今日は映画を観に行ってから遅めのお昼をのんびり食べて、それから適当に店を見て回ったりぶらぶらしたりしながら最後は夕食を食べて帰ろうと話していたのだ。映画以外は特に詳細を決めていない気ままなデート。の筈だったが、既に映画の時間まで1時間も無かった。今からダッシュで準備すれば間に合う?次の回ってあったっけ?ていうか今日を逃したら僕はもう観れない!そんなことを頭の中で高速で右往左往させながら恵の名前を呼んだ。
「ねぇ恵!映画!」
「…ん、なに、…るっさい…」
「もう昼!映画間に合わないよ!」
 ようやっと目を覚ました恵は心底迷惑ですという顔をして悟を見た。快眠を邪魔されて眉間に皺を寄せているが、瞳はまだ寝ぼけてとろりとしている。可愛い、可愛いけれど悟は心を鬼にして恵を叩き起こそうとした。
「急いで支度しなきゃ!」
「…もう、よくないですか…」
 むにゃむにゃとした声で言いながら悟の手を振り切り、恵は布団の中に潜ろうとした。なんならもう既に瞼が閉じられている。
「どうせまだチケット取ってないし…俺もごじょうさんも寝過ごしたんなら、そういう日なんですよ…」
「でも僕、今日しかこれ観れない!」
「配信でお願いします」
「そんなぁ」
 そんな攻防を続けていたらもう11:00を少し過ぎていた。今から急いで飛び出しても映画には間に合わない。既に公開から日にちが経っていて、1日の上映回数も1回か2回。早朝か夜遅くにしか枠がない中で、今日は奇跡的に昼頃に枠が設けられていた。そんな偶然が重なった休みにすっかり2度寝をする気の恵の隣に再び横たわり、頭の中で悟は今日の予定を1つキャンセルした。映画には映画館で観るからこその楽しみがあるというのに、恵もそれは知っている筈なのに、配信で観ろだなんて。冷たすぎやしないか。
「ねぇ、恵は僕とのデート嫌なの?」
「いや、とかじゃなくて」
「映画行ってご飯食べてぶらぶらしよって言ってたのに」
「外出るのめんどくさくなったのはありますけど」
「こら」
「揃って寝坊したんだし、今日はふとんでごろごろ、が、いいです」
 くあ、と欠伸を零した恵は悟の方を向いてきゅ、と唇を摘んだ。拗ねてとんがった悟の唇を摘んで、分かりやすく機嫌を取ろうとしている。そして、そのご機嫌取りに悟は弱いのだ。
 むにむにと唇を揉んで、ついでに軽い触れるだけのキス。
「配信きたら、一緒にみましょう」
「…恵だけ先に観たりしない?」
「っ、ふふ、しませんて」
「何笑ってんの」
「すっげぇ拗ねてる」
 誰のせいだと思ってんの!そう叫んだ頃には、実のところ悟の機嫌は恵のキスで半分くらい直っていた。観たかった映画が観れなくなったのも、この調子だとランチを食べに行くのも流れるだろうし、下手したら夕方くらいに近所のスーパーに行って夕飯の買い出しだ。予定が全部ぐたぐたになって、久しぶりのデートらしいデートはもうどこかに行ってしまった。
 けれど愉快そうに口元を緩めた寝ぼけまなこの恵が、悟の唇にもう一度キスを落としてから腕の中で寝落ちるもんだから、そりゃあ多少の機嫌も直るに決まっているのだった。

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恵ソムリエ
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